【愛犬のための知識】犬のクッシング症候群について
犬のクッシング症候群について
犬の場合はそれほど珍しい病気ではないため、覚えておくのがいいと思います。
【クッシング症候群について】
クッシング症候群とは、猫よりも犬に多くみられる病気で、特に老犬に多くみられる病気です。
副腎皮機能亢進症という、副腎の疾患です。
この副腎とは、左右の腎臓のすぐ内側の大動脈と、大静脈のすぐ近くに、それぞれ存在する小さい分泌器官で、多くの働きを持つホルモンが作られています。
この副腎の機能に異常が起こる病気です。
【クッシング症候群の分類】
クッシング症候群は、大きく2つに分けられています。
①自然に発症するもの
②他の病気の治療にともなう医原性のもの
というふうに分れます。
そして、自然に発症するものには2つあります。
①下垂体の腫瘍が原因のもの
②副腎の腫瘍が原因のもの
です。
また、医原性(治療の副作用で発症した場合)のものには、治療のためにステロイド剤を長期大量に与えたことで発症すものもあります。
【原因】
クッシング症候群は、コルチゾールというホルモンが副腎皮質から過剰に分泌されることにより、発症します。
このコルチゾールとは、副腎皮質ホルモンのなかで、最も代表的なホルモンで、身体を活発な状態に保つために、さまざまな作用をします。
【症状】
必ず見られる症状としては、水を多く飲むようになります。
水を多く飲みますから、おしっこも多くなります。
多飲多尿と言われる症状です。
失禁するケースもあるようです。
食欲が旺盛になったり、腹部が膨れて目立つようになったりする場合もあります。
筋力が低下してジャンプしなくなったり、運動をしたがらないとか、直ぐ疲れて息切れしたりするという場合もあります。
他には、小さな怪我が治りにくくなったり、毛を剃った時に発毛してこなかったり、毛の色が正常よりも明るくなったりします。
痒みのない脱毛が全身に起こる場合や、脱毛が体の左右対称にみられる場合もあります。
あとは、皮膚は薄く弾力性がなくなると言われていますが、一般の飼い主には皮膚が薄くなるという状態の判断は難しいかもしれません。
これらの症状を病気としてとらえるには、初期ではればあるほど難しいと思います。
日常生活で、愛犬の微妙な変化を見つけられるのは飼い主です。
少しでも思い当たるものがあったら、歳だからとか、大丈夫だろうと過信せず、クッシング症候群を疑ってみることも必要です。
【検査と治療】
まず、血液検査で調べます。
クッシング症候群とわかったら、自然発症の場合は切除する外科的治療、そして薬での内科的治療とに分かれます。
ですが、外科的治療方法は、下垂体にしても副腎本体にしても、極めて難しい手術なので、薬の投与でコントロールする方法が一般的なようです。
薬の効き具合は、それぞれの個体差や病状により違うので効きすぎると今度は逆に低下症を引き起こし、虚脱状態から亡くなる場合があるので、病状を見極めたうえで、慎重に投与する必要があります。
そのため、投与のための定期的な検査も必要です。
次に、医療性の場合は、ステロイド剤の使用をやめる治療から始めます。
食事についても気遣いが必要です。
クッシング症候群になった犬には、高タンパクの食べ物が良いとされています。
高タンパク質は、筋肉の萎縮を防ぎ、皮膚や免疫力をアップする働きがあるからです。
しかし、肝酵素が上昇している場合は、高タンパクは避けた方がいいので、血液検査の結果をふまえたうえで、獣医とよく相談しましょう。
また、高脂血症と膵炎を発症することが多いため、食事の脂肪分のコントロールも必要です。
シュウ酸カリウムによる、膀胱結石を患ってしまう犬もいるので、カルシウム等の与えすぎにも気を付けます。
クッシング症候群の症状として、水を多く飲むようになりますが、水は十分与えた方がいいです。
このへんのことは、ちゃんと獣医と相談しましょう。
【最後に】
クッシング症候群は、初期の段階では見逃すことが多く、気が付いた段階では見逃すことが多く、気が付いた時には、病状がかなりすすんでしまっていた、ということになりかねません。
このようなインターネットの情報だけで判断せず、少しでも異変らしきものを感じたら、動物病院へ受診しに行きましょう。
この結果、何もなければそれはそれで安心ですし、思いがけず他の変異が見つかった場合もそれはそれで、発見できてよかったわけですし。
もう歳だから、そのせいでちょっと大人しくなったのかなと思わずに、少しでも気になることがあったなら、受診するようにこころがけましょう。
それが愛犬のためでもありますし、後になって後悔しないよう、飼い主さんのためでもあるのですから。
いかがでしたでしょうか。
次回もお楽しみに